短距離を速くするAN練習|AN1〜AN3でスピードと粘りを鍛える

こんにちは,「泳ぐ課長の水中戦略課」です。

これまでEN練習で基礎的な持久力やフォームを作ってきましたが,短距離自由形を本気で速くしたいなら,AN練習でレースに直結するスピード持久力を鍛えることが欠かせないと感じています。

EN練習だけでは後半の失速を防ぐには限界があり,レース強度に近いAN1〜AN3の練習で「粘れるスピード」を作ることが短距離で結果を出すカギになります。

今回は,私自身が取り入れているAN練習を例に,AN1〜AN3の違いや短距離に必要な理由を整理していきたいと思います。

同じように短距離種目でタイム更新を目指している方の参考になれば嬉しいです。


AN1〜AN3とは?

AN練習は「Anaerobic(無酸素)」の略で,EN練習よりも高い強度で泳ぐ練習です。ANは1〜3までのゾーンに分けられ,それぞれ目的と強度が異なります。


AN1

  • レース強度に近く,50m以上の距離でも持続できる強度
  • 心拍は最大心拍の90〜95%程度
  • 100m〜200mをターゲットにした「高強度持久力」を養う

AN2

  • ほぼ全力で泳ぐが,数本の反復が可能な強度
  • 心拍は最大心拍の95〜100%近く
  • 50m〜100m種目向けの「レース強度を維持する力」を養う

AN3

  • 最大パワーを発揮するスプリント練習
  • 持続時間は25m程度で限界
  • スタートやターン後の加速など,爆発力を高める目的

AN練習はEN練習だけでは得られないレース強度の感覚を養い,短距離自由形で後半まで粘れるスピードを作るために欠かせない練習だと考えています。


短距離自由形にAN練習が必要な理由

EN練習で基礎的な持久力を作ることは大切ですが,短距離自由形で結果を出すためにはレース強度に近い負荷をかけるAN練習が必要不可欠です。


後半のピッチ維持

EN練習だけでは高強度でピッチを維持する筋持久力は身につきにくく,AN練習で全力に近い強度で泳ぐことで,後半でもピッチを落とさずに粘れる力を養えます。


スタート・ターン後の加速

AN3のような短距離スプリント練習で最大パワーを引き出す練習をすることで,スタートやターン後の加速力を高められます。


レース感覚の強化

ENでは得られない「追い込んだ状態でフォームを維持する感覚」や「レース後半の苦しさを乗り越える感覚」をAN練習で身につけることで,レース本番でのパフォーマンスを上げられます。


短距離を本気で速くするためには,EN練習とAN練習を組み合わせて「基礎持久力×スピード持久力」の両面を強化することが重要だと実感しています。


実際に取り入れているAN練習メニュー

ここでは,私が実際に短距離自由形の練習で取り入れているAN1〜AN3のメニューを紹介します。


AN1:100m×4本 Hard @3’00

  • レースペースに近い強度で100mを4本泳ぎ,フォームを崩さずに高強度を持続することで,後半で粘れる持久力を養う練習です。

※理想的には4本以上で合計400m程度を高強度で泳ぐとAN1の目的に合いますが,マスターズのように練習時間が限られている場合は2〜3本でも十分な刺激になります。練習環境や時間に合わせて本数を調整して取り組んでみてください。


AN2:50m×4本 Hard @2’00

  • 毎本レース強度に近い全力で泳ぎ,後半でもピッチを維持しながら疲労下でのフォームを鍛える練習です。

AN3:25m×4本 Sprint @2’30

  • 1本ずつ最大パワーで泳ぎ,スタートやターン後の爆発力を意識した練習です。フォームが崩れない範囲で限界まで追い込むことを意識しています。

これらの練習はEN練習だけでは得られない「速いペースで粘る感覚」を養うのに役立っています。


AN練習で意識しているポイント

AN練習はEN練習よりも高強度になるため,質を高める意識が重要です。私自身が練習中に意識しているポイントを紹介します。


  • 疲れてフォームが崩れる前に本数を終える
    → 量より質を優先し,崩れた状態で続けない。
  • 1本ごとに集中して泳ぐ
    → AN練習はレースを想定した強度なので,常に本番のつもりで取り組む。
  • インターバルは長めに取って質を維持する
    → 回復が不十分だとフォームもタイムも乱れやすいため,十分に休息してから次の1本に集中する。
  • テーマを持つ
    → スタートの反応,ターン後の浮き上がり,ピッチなど,1回の練習で意識するポイントを絞ると効果的。

AN練習は短時間で高い負荷をかけられる反面,集中を切らすとただの「疲れるだけの練習」になってしまいます。目的を持って1本1本を大切にすることが大切です。


まとめ

AN練習は短距離自由形で後半まで粘れるスピードを作るために欠かせない練習です。EN練習で基礎体力を作った上で,AN1〜AN3の練習を取り入れることで,レース強度に近いスピード持久力を鍛えられます。

量をこなすよりも,質を意識して1本1本を大切にすることで,限られた練習時間でも最大限の効果を引き出せると実感しています。

次回は,EN練習やAN練習を組み合わせた応用メニューとして,ディセンディングやパックセットについても整理していく予定です。

これからも「泳ぐ課長の水中戦略課」をよろしくお願いします!

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