こんにちは,「泳ぐ課長の水中戦略課」です。
これまでEN練習で基礎体力を作り,AN練習でレースに近いスピードを養ってきましたが,実はその間を埋める「応用練習」を取り入れることで,短距離自由形のパフォーマンスをさらに引き上げることができます。
特に「ディセンディング」や「パックセット」はENとANを組み合わせたような負荷を再現でき,レースの後半に粘れるスピードを養う上で非常に効果的だと実感しています。
今回は,短距離練習に取り入れることで持久力とスピードを両立できるディセンディングとパックセットの内容や目的,実際の練習例を整理してみました。
同じように短距離でベストを更新したい方の参考になれば嬉しいです。
ディセンディングとは?
ディセンディング(Descending)は,「本数を重ねるごとにタイムを少しずつ速くしていく練習」です。
例えば50m×4本のセットなら,1本目より2本目,2本目より3本目…と徐々にタイムを上げていきます。
目的
- 後半に向けて心拍やピッチを上げていくことで,レース終盤で粘れる持久力を養う
- 負荷を少しずつ高めることでフォームを崩さずに強度を上げる感覚を掴める
- レースペース以上で泳ぐ感覚を作りやすい
短距離練習でのメリット
- 前半から全力で入るのではなく,後半に向けてスピードを高めることで,レース後半の失速を防ぐイメージが養える
- EN強度からAN強度まで自然に移行できるため,心肺や筋持久力に幅広い刺激を与えられる
実際に行っている例
- 50m×4本 Descend @2’00
→ 1本目はEN2程度のペースで入り,4本目はレースペース以上で泳ぎ切る
ディセンディングは単調になりがちな反復練習に変化をつけられるだけでなく,スピードの上げ方を練習できるため,短距離の「レース感覚作り」に最適です。
パックセットとは?
※「パックセット」という言葉は日本ではあまり一般的ではありませんが、このブログでは「短距離と中距離を連続して泳ぎ,疲労が残った状態で後半も追い込む練習」という意味で使っています。
パックセットは前半のスプリントで心拍を上げ,そのまま中距離を高強度で泳ぎ切ることで,レース後半の粘りを養う練習です。EN強度からAN強度に移行する負荷を一度のセットで体感できます。
目的
- 前半で心拍を一気に上げて高強度状態を作り,そのまま後半も泳ぎ切ることで,レース後半で粘れる持久力を鍛える
- 疲労が溜まった状態でフォームを維持する技術を養う
私が実際に取り入れてきた例
- 25mハード → 15秒レスト → 50mハード
これを3セット(セット間1分30秒レスト)
このメニューは25mのスプリントで心拍を上げた直後に50mをレースペース以上で泳ぎ,乳酸耐性やピッチ維持力を養うことを目的としています。
取り入れるタイミング
- レース2〜3週間前にAN練習と組み合わせて負荷を高めたい時
- 練習時間が短い中でも,短時間でレース感覚を追体験したい時
パックセットは限られた時間でも質の高い練習ができ,短距離種目のレース展開に必要な「前半のスピード+後半の粘り」をまとめて鍛えられます。
応用練習の意義
ディセンディングやパックセットのような応用練習を取り入れることで,EN練習とAN練習だけでは補いきれないレース後半の粘りや持久力を養えます。
- EN練習で作った基礎体力を,レース強度に近づけていくための架け橋になる
- スタートから全力で飛ばすだけでなく,「徐々にペースを上げていく」レース展開の感覚を養える
- 精神的にも「追い込み耐性」がつき,レースで苦しくなった場面で崩れにくくなる
ENやAN単体の練習も重要ですが,応用練習をうまく取り入れることで練習にメリハリが生まれ,実戦に近い流れを体感しながら鍛えられると感じています。
まとめ
ディセンディングやパックセットは,EN練習とAN練習を組み合わせた応用練習として,レース後半で粘れるスピードを養うのに最適です。
短距離自由形でベストを更新するためには,基礎体力だけでなく,実戦を意識した強度の変化を練習に取り入れることが重要だと実感しています。
次回は,大会レポートやスタート練習など,レースの勝負を分けるテクニックについても記事にしていきたいと思っています。
これからも「泳ぐ課長の水中戦略課」をよろしくお願いします!
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