こんにちは,「泳ぐ課長の水中戦略課」です。
今回は「ストローク数」に注目して,推進効率(ストローク効率)をどう見極めるかと,それをどう練習に活かしていけるかを考察していきます。
出発点:50m EN2のストローク数分析
先日の練習で実施した「50m EN2の練習」で,以下のようなデータが得られました。
- 前半25m:10回
- 後半25m:12回
- 合計ストローク数:22回
- タイム:32秒(50m)
このデータから、単なるストローク数の多さ・少なさだけでは見えない「推進効率」のヒントが得られます。

ストロークインデックス(SI)で推進効率を測る
ストロークインデックス(Stroke Index)とは?
SI(Stroke Index)=泳速(m/s) × ストローク長(m/回)
この指標は,水泳における「ストローク1回あたりの効率」を数値化するものです。1970年代にアメリカの水泳指導者 James E. Counsilman によって提唱されました。
出典:Counsilman, J. E. (1977). The Science of Swimming
自分のSIを計算してみる
今回の50m EN2の結果をもとに計算します:
- タイム:32秒
- ストローク数:22回
- 泳速:50m ÷ 32秒 ≒ 1.56 m/s
- ストローク長:50m ÷ 22回 ≒ 2.27 m/回
- SI ≒ 1.56 × 2.27 = 3.54
上記から分かる通り,泳速が速いほど,ストローク長が長いほど,SIは高くなります。
SIの比較:世界レベルの実測値
- 例えば、中国のSun Yang選手(男子1500m自由形 元世界記録保持者)は,レース中にSIが 6.0 近くに達していたと報告されています。
- 同様に,データ解析サービス TritonWear によれば,世界のエリートスイマーでは SIが5.0〜6.0を超える例が記録されています。
ストローク数から見える自分の泳ぎの特徴
今回の数値を見ると,
- ストローク長は約2.27mとしっかり確保できている
- ストローク数も22回に抑えられている
- タイムは32秒(=1.56m/s)
という点から,ピッチに頼りすぎず,伸びを活かした効率的な泳ぎができていたと感じました。
フォームやテンポに大きな乱れはなく,リズムを保ちつつ進めたことで,このストロークインデックスが得られたのだと思います。(世界レベルには遠く及ばないですが・・・)
今回の考察まとめ
- ストローク数だけでなく,タイムとのセットで評価することが重要
- SI(泳速×ストローク長)を活用することで,自分のフォームを定量的に把握できる
- ストローク長・ピッチ・推進力のバランスを見極める視点が得られた
練習への応用
- 50mや100m練習で,ストローク数とタイムを記録してSIを算出
- 特に25mごとの変化を記録することで,後半の効率低下やフォーム崩れも見える
- 週1回でもいいので,定点観測としてのSI測定を継続していきたい
まとめ
ストローク数は「努力量」ではなく「効率」を映し出す鏡。
数値で泳ぎを振り返ることで,「なんとなく速い」から「なぜ速いかが分かる」へ。
推進効率を意識することで,無駄を削ぎ落としたスイムを目指していきたいと思います。
よくある質問(FAQ)
- ストローク数は毎回記録すべき?
-
記録を習慣化することで,調子や崩れを数値で把握できるようになります。私は毎回ストローク数を数えながら泳いでいます。
- ストローク数が多いのは悪い?
-
単に多い少ないで評価するのではなく,テンポや泳速とセットで評価することが重要です。
- SIが低いときは何を直すべき?
-
ストローク長を改善(=無駄な動作削減・浮き上がり改善など)したうえで,テンポの調整も合わせて考えると良いと思います。



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