こんにちは,「泳ぐ課長の水中戦略課」です。
今回はスプリント力の強化に欠かせない「25mスプリント反復練習」について,理論的な背景と,私が実践している設定例を交えて解説します。特に「25m All-out」のようなセットに注目し,目的と得られる効果を明確にしていきます。
25mスプリント反復練習とは?【短距離水泳の基礎トレーニング】
25mという短距離を全力または高強度で繰り返し泳ぐトレーニングです。全力スプリントは筋出力の限界を引き出すとともに,フォームやテンポ,ピッチの最適化にも効果があります。
なぜ25mなのか?【目的と理論背景】
● 疲労前に限界スピードを出せる
100mや50mでは疲労によって後半の出力が落ちがちですが,25mであれば前半のトップスピードを繰り返し再現できます。これにより「最大速度ゾーン」での泳ぎ込みが可能になります。
● ドルフィン・浮き上がり・加速区間に集中できる
25m単位で区切ることで,スタートから浮き上がり,加速,トップスピード維持という短距離スイムにおける重要区間を強化しやすくなります。
練習例①:25m All-out(フルレスト)の設定と意図【最大出力を引き出す】
● トップスピードの再現性向上
セット間に十分な休息(Full Rest)を設けることで,毎本限界スピードで泳ぐことが可能になります。これは「神経系の適応」や「最大筋出力の発揮」に最適です。
● トップスピードそのものを磨く
フルレストを挟むことで毎本“フレッシュな状態”で泳げるため,純粋な最大スピードの再現性と出力の精度を高めることが狙いです。フォームの乱れが出る前に高出力を繰り返すことで,効率の良いスプリントフォームと神経系の適応を促します。
■ 推奨設定例:
- 25m×3 All-out(@2’00〜2’30)
- 各本のタイムを計測
- ストローク数も毎本確認し,安定性と再現性を評価
練習例②:All-out/フォーム繰り返しセット
このセットは高強度と技術の両立を狙った構成です。
● 疲労下でのフォーム保持を意識
Odd本(1,3本目など)で全力出力を出し,Even本(2,4本目など)では意図的にフォームを整えるスイムを行います。疲労が残る中でいかに正しいフォームを維持できるかを確認できます。
● 「崩れない泳ぎ」をつくる
フォームの乱れや力みに気づき,効率の良いテンポや姿勢を再学習する機会になります。
■ 推奨設定例:
- 25m×8(Odd:All-out/Even:フォーム)@0’45〜1’00
- フォームスイムでは「姿勢・軸・水のつかみ」を意識
- 呼吸を制限してリズムの確認に特化するのも効果的
25mスプリント練習で意識すべきポイント
- PushスタートでもOK:ダイブができない場合でも,Pushで十分効果があります。
- 毎本タイムとストローク数を記録:目標は「再現性のあるスピード」。
- フォームの意識を持ち帰る:スプリント後の泳ぎに乱れがないかを自分で観察する習慣を。
まとめ:25mスプリント反復練習でトップスピードを磨こう
25mスプリント反復は,短水・長水問わず,スプリント種目においてスピードの再現性とフォームの安定性を高めるために極めて有効なトレーニングです。
特に,
- 25m×3 All-out(Full Rest)は最大出力の強化と神経系への刺激に,
- Odd全力/Evenフォームは疲労下でのフォーム維持能力の強化に
それぞれ明確な目的を持ったセットとして,定期的に取り入れることでパフォーマンス向上が期待できます。
今後も「泳ぐ課長の水中戦略課」では,水泳における練習の意図や理論的背景を掘り下げて発信していきます。
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よくある質問(FAQ)
- 25m All-outは週に何回行えばよい?
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週に1〜2回が推奨されます。他の強度の高い練習とのバランスを見ながら,神経系への過負荷を避けるように調整してください。
- All-out/フォーム繰り返しセットは何本が適切?
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25m×4〜8本のセットが一般的です。Oddは全力で,Evenはフォーム確認として軽めに泳ぐことで,スピードと技術を同時に鍛えられます。
- 毎本タイムとストローク数を記録する理由は?
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再現性と安定性を数値で確認するためです。特に短距離では,フォームの乱れや出力のバラつきを最小限に抑える意識が重要です。
- このトレーニングは100mや200mにも役立つ?
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大いに役立ちます!25mスプリントで磨かれたトップスピードやフォームの精度は,100mの前半や200mの中盤加速局面に活きてきます。


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